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 2.認知症の検査と診断

 A.何科を受診すれば良い?
 医学の進歩により、たとえ認知症になっても早期に発見して適切な対処をすれば、症状の進行を抑えたり改善したりできる可能性が高まっています。それだけにお年寄りの周囲にいる人は、ふだんと違う行動があれば注意して見守り、受診をすすめるようにしたいものです。
 初期には、物忘れがひどくなったことを本人が自覚できることが多いので、その場合はためらわずに受診します。
 
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 ◆専門は精神神経分野◆
 認知症の疑いで受診する場合の専門診療科は、精神科、神経科、神経内科などです。
 病院によっては、老年科、脳神経外科などが対処しているところもあります。また、物忘れとの判別を相談にくる人にもわかりやすいよう、「物忘れ外来」などの名称で診察を行なっているところもあります。
 受診の前に病院へ電話などで問い合わせ、物忘れの相談であることを伝えておくとよいでしょう。
 病院によっては予約が必要なこともあるので、同時に尋ねておけば安心です。
 
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 ◆保健センターの窓口で相談も◆
 どこの病院に適当な診療科があるかわからないときは、地域の保健所や、保健センターにある精神保健相談窓口などを利用してみるのもよいでしょう。ここに問い合わせて、国が指定する老人性認知症センターなどを教えてもらうのもよい方法です。「認知症の人と家族の会」などの患者とその家族同士のネットワークを利用して、紹介してもらう方法もあります。最近では、こうした会が運営しているインターネットのホームページなどからも情報を得ることができます。

こんなことが気になる時には、受診をすすめる
  同じことを何度もいったり聞いたりする
  以前はあった物事への関心や興味が薄れた
  物の名前がでてこなくなった
  置き忘れやしまい忘れが増えた
  財布など大事なものを盗られたと騒ぐ
  日付や時間の認識があいまいに
  ささいなことで怒りっぽくなった
  以前よりだらしなくなった
  テレビを見ていて内容がよく理解できなくなった
  計算間違いをしやすくなった

 (資料/認知症でよくあらわれる症状=東京都老人総合研究所調べ)

 
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 軽度認知障害は早めに対策を
 認知症と単なる物忘れの境界域を、軽度認知障害(MCI)と呼ぶことがあります。
 この場合、物忘れの程度が健康なお年寄りの老化現象のレベルを超えているものの、それ以外の知的機能は保たれているという特徴があります。放置しても本橋的な認知症に進むとは限らず、進むのは4〜5割程度ともいわれます。
 しかしこの段階で治療をすると、発症を遅らせたり、発症しても軽症ですませられるケースがあることもわかってきました。
 それだけに、早い段階での受診がますます重要になっているのです。
 最近の体験をまるごと忘れるといった、認知症の特徴的な物忘れがみられなくても、お年寄りが物忘れをしばしば繰り返す場合は、念のため受診し、経過を観察したほうがよいといえます。
 
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 信頼を損なわず受診させるコツ
 周囲の人が受診をすすめても、お年寄り本人がかたくなにそれを拒否する場合は、あまり無理じいをしないことです。力ずくで引っぱっていったり、ほかの場所へ行くなどと嘘をいったりして医療機関へ連れ込むのはいけません。お互いの信頼関係が損なわれてしまいます。
 受診の機会を、脳を含めた全身の健康状態のチェックととらえ、「健康診断を受けておきましょう」などと声をかけて、医療機関に行くことはきちんと伝えておいたほうがよいでしょう。
 受診の際は、普段のお年寄り本人の様子をよく知る人が必ず同行します。そのほうが本人も安心ですし、医師も情報を得やすくなります。同行者は、医師に伝えたいことをメモして持参するとよいでしょう。
 
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 ◆診断に必要な検診と問診◆
 認知症の診断には、医師による問診を中心とした診察がまず行なわれます。さらに、心理・知能・脳機能のテストや脳の画像検査、血液検査なども同時によく行なわれます。すべての検査が一日では終了せず、日を分けることもあります。
 また、かかりつけの医師がいれば、既往歴などを記した紹介状をもらっておくと診断の助けになります。
 
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 ◆問診の内容◆
 多くの場合、問診では次のような質問をされます。本人が答えられることもあるかもしれませんが、同行者はそれを補足し、これまでの経過を客観的に伝えるよう努めます。
 
@ どんな変化がいつごろからあるか
A 急に起きたか、いつのまにかか
H 気づいたのは本人か、他の人か
C 気づいたときから現在までに何か変化があったか
D ほかに気になる症状はあるか、それはいつごろからか
E これまでにかかつた病気 (既往歴)、服用中の薬、過去に服用していた薬、肉親の病歴など
 
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 ◆各種テストの実施◆
 問診に加えて行なわれる書き込み式の知能テスト、心理面・脳機能面のテストのうち、認知症かどうかのふるい分け(スクリーニングテスト)によく用いられるのが改訂版・長谷川式知能評価スケール(HDS-R)です。次ページのような設問に答えていくもので、時間や場所の見当識、記銘力 (新しいことを覚えておく力)、計算能力、言語能力などの状
態を簡単にチェックできます。
 どのテストも、専門医が患者の様子をみながら実施することで、より正確な診断結果が得られます。
 
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 ◆病変をとらえる脳の画像診断◆
 認知症を引き起こす脳の萎縮や梗塞などの病変が起きているかどうかは、脳の画像診断でわかります。
 ある程度進行した病変は、CTやMRIなどでよくわかりますが、初期の病変はこれまで非常にわかりづらく診断が困難でした。しかし、SPECTやPETの登場で、比較的初期の段階の脳機能の変化までとらえられるようになりました。
 
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 ◆CT検査◆
 ]線断層撮影で得られた情報をコンピュータで再構成し、脳の断面を描きます。ペースメーカーを使っている人は磁力装置(MRI)を使えませんが、CTなら使用できます。 
 
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 ◆MRI検査◆
 磁力装置によって様々な角度から脳の断面図が得られ、CTより細かい病巣の発見に役立ちます。
 
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 ◆SPECT検査◆
 ラジオアイソトープを静脈に注射し、CT検査の技術を組み合わせて、脳の血流の状態を観察します。血流が変化するのをみて、脳の部位ごとの機能低下の状態を推測することができます。
 
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 ◆PET検査◆
 検査方法はSPECTとほほ同じですが、脳の血流のほか、ぶどう糖の分布状態、酸素消費量、神経伝達物質などの状態も調べられるので、より詳しく脳機能の低下をとらえることができます。
 
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 ◆原因疾患の追究には全身の健康診断も◆
 脳の機能を客観的に調べるには、脳波の測定が行なわれることもあります。
 また、肝臓病や甲状腺機能低下症などの全身疾患や、栄養状態が引き金となって認知症を発症するもあるので、全身の健康状態のチェックも欠かせません。
 そこで、血液検査をはじめ、必要に応じて尿検査や心電図検査、臓器の]線撮影などが行なわれることがあります。
 
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 ◆検査で認知症と診断されたら◆
 問診やさまざまなテスト、検査により認知症であることがわかったら、その原因と重症度を調べます。
 原因や重症度によって、薬物療法が適用できるか、リハビリはどんな内容が必要か、などを検討していきます。脳の病変を引き起こしている原因疾恩がほかの臓器にあれば、その治療も必要です。
 さらには、現在の症状の中核にある記憶障害や知的能力の低下などのほか、具体的にどんな症状が起きているかを調べ、対処法を検討します。
 
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 ◆認知症を引き起こす原因疾患と対処法◆
 認知症の原因とタイプは前述のように脳血管性認知症、アルツハイマー型、レビー小体型に代表されますが、ほかにも脳の病変を引き起こす原因は考えられます。原因によって対処法が異なるので注意します。
 老年期に認知症をきたす疾由思は次ページの表のとおり多様です。
 
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 ◆脳の病気やけが、感染症◆
 脳梗塞などから起こる脳血管性認知症のように、脳そのものに病気があって起こる認知症もあります。
 たとえば、脳にできた腫瘍や慢性硬股下血腫による血のかたまりが神経細胞を圧迫し、障害が生じるケースです。
 頭を打ったあと、しばらくして急に物忘れが激しくなった場合は、慢性硬股下血腫による障害が疑われます。ほかにも外傷や脳出血の後遺症から脳庄が高まり、障害が生じることもあります。
 異常に気づいたら、一刻も早く脳神経外科で手当を受ける必要があります。
 感染症から脳炎を起こし、障害が生じることもあります。手当が遅れると命にかかわる危険があります。
 
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 ◆内臓・代謝疾患による脳症◆
 脳の障害の原因は、脳そのものとは限りません。ときには内臓疾患が原因で脳症が引き起こされます。
 たとえば、糖尿病や高血圧症が悪化して腎機能が低下すると、尿毒症を起こして意識障害や認知症の症状がみられたりします。
 肝硬変が進んで肝機能が低下したために、肝性脳症が起きて認知症の症状がみられることもあります。それぞれの疾患を治すことが先決です。
 糖尿病で血糖降下薬やインスリン注射などを用いている人のなかには、激しい運動のあとや空腹時などに血糖値が下がりすぎる低血糖発作を起こすこともあり、この場合も意識障害や認知症の症状がみられることがあります。糖分を接取して低血糖状態から回復するとおさまりますが、ひんばんに繰り返すと脳がダメージを受けるので危険です。
 また、甲状腺機能低下症のために物忘れの症状がひどくなることもあります。甲状腺機能低下症の治療を受ければ症状は改善します。
 
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 ◆服用中の薬の影響など◆
 何らかの病気で薬を服用している人では、薬の影響で認知症の症状がみられることがあります。たとえば、注意力散漫で物忘れが目立ったり意識障害や眠け、手のふるえなどが起きたりします。

 このような症状の起こる可能性のある薬は、睡眠薬、抗精神病薬、抗うつ粟、バーキンソン病治療薬、降圧薬、利尿薬、強心薬、鎮痛菜、抗ヒスタミン薬、ステロイド薬、抗がん薬などが考えられます。
 とくに複数の病院や診療科で受診し、別々に投薬を受けると、薬の重複などで服用量が過剰となりやすいので要注意です。
 薬を中止すると症状は改善することが多いですが、自己判断で急に中止すると、反動でよくない症状があらわれることもあります。薬を中止したいときは、必ず担当の医師に相談してください。
 
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 ◆うつ病など他の疾患はしっかりと鑑別・治療◆
 認知症の人は知的能力が低下するためぼんやりしているように見えることがよくあります。しかしこれは、うつ病などの場合にもしばしばみられる状態です。元気がなく、口数が少なく、動作が鈍くなったら、うつ病と診断されるかもしれません。うつ病の物忘れは、気力も判断力も低下するため思い出すのに時間がかかり、注意力も散漫になると考えられ
ます。放置すると自殺してしまうこともあるのできちんと鑑別し、うつ病の治療を進める必要があります。
 
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 ◆老年期に認知をきたす主な疾患◆
 
 脳の変性によって
 起こる認知症
 アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、バーキン
 ソン病、前頭側頭型認知症(ピック病)、進行性核上性まひ、
 皮膚基底核変性症、ハンチントン病、辺縁系神経原線維変
 化認知症など
 脳血管性認知症  大・中梗塞性認知症、多発梗塞性認知症、出血性認知症、
 ビンズワンガー脳症など
 混合性認知症  上記2つの項目が混合して起こる
 感染性疾患  工イズ脳症、単純ヘルペス脳炎、脳梅毒、亜急性硬化性
 全脳炎、進行性多巣性白質脳炎、プリオン病など
 代謝・内分泌の
 疾患
 肝性脳症、低血糖性脳症、甲状腺機能低下症、ダウン症、
 ペラクラ脳症、白質ジストロフィー、ミトコンドリア脳筋症、
 ウェルニッケ・コルサコフ脳症など
 外傷性疾患  外傷性脳挫傷、慢性硬膜下血腫、ボクサー脳症など
 その他  多発性硬化症、ベーチェット病、シェーグレン症候群、
 脳腫瘍、正常圧水頭症による脳圧亢進、低酸素性・虚血性
 脳症、ビタミン欠乏症、薬物中毒、アルコール関連認知症、
 一酸化炭素中毒など
 
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 ◆改訂版・長谷川式スケール(HDS-R)◆
改訂版・長谷川式スケール(HDS-R)
 

質問内容

配 点

 お歳はいくつですか?(2年までの誤差は正解、正解したら1点) 

0  1

 今日は何年の何月何日ですか? 何曜日ですか?
 (年月日、曜日が正確でそれぞれ1点ずつ)

0  1

0  1
0  1
曜日 0  1
 私たちが今いるところはどこですか?  (自発的に出れば2点、5秒おいて、
 家ですか?病院ですか?施設ですか?のなかから正しい選択をすれぱ1点)

0 1 2

 これからいう3つの言葉をいってみてください。
 あとでまた聞きますのでよく覚えておいてください。
 (以下の系列のいずれか1つで、採用した系列に○印をつけておく)
 1: a)桜  b)猫  c)電車  2: a)梅 b)犬 c)自動車

0  1
0  1
0  1

 100から7を順番に引いてください。(100−7は? それからまた 
 7を引くと? と質問する。最初の答えが不正解の場合、打ち切る) 

(93)
(86)

0  1
0  1

 私がこれからいう数字を逆からいってください。
 (6−8−2、3−5-2−9)
 (3桁逆唱に失敗したら打ち切る)

286
9253

0  1
0  1

 先ほど覚えてもらった言葉をもう一度いってみてください。
 (自発白勺に回答があれば各2点、もし回答がない場合、以下のヒントを与え
 正解であれば1点) a)植物  b)動物  c)乗り物

a:0 1
b:0 1
c:0 1

 これから5つの品物を見せます。それを隠しますので何があったかいってください。
 (時計、カギ、夕バコ、ペン、硬貨など必ず相互に無関係なもの。正解1つにつき1点)

0 1 2
3 4 5

 知っている野菜の名前をできるだけ多くいってください。
 (答えた野菜の名前を右欄に記入する。途中で詰まり、約10秒
 待ってもでない場合はそこで打ち切る)
 5個までは0点、6個=1点、7個=2点、8個=3点、9個=4点、
 10個=5点
   
   
   
   
   

0 1 2
3 4 5

 満点は30点。20点以下は認知障害の疑いがあります

合計得点

 

(元聖マリアンナ医科大字学長 最古川和夫氏による)

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HOME|★||★|目次
認知症の理解
何科を受診すれば良い?
専門は精神神経分野
認保健センターの窓口で相談
軽度認知障害は早めに対策
信頼を損なわない受診のコツ
診断に必要な検診と問診
問診の内容
各種テストの実施
病変をとらえる脳の画像診断
CT検査
MRI検査
SPECT検査
PET検査
原因疾患追究に全身診断も
検査で認知症と診断されたら
認知症の原因疾患と対処法
脳の病気やけが、感染症
内臓・代謝疾患による脳症
服用中の薬の影響など
うつ病など他の疾患はしっかりと鑑別・治療
老年に認知をきたす主な疾患
改訂版・長谷川式スケール
認知症の理解
認知症とはどんな病気なのか?
認知症の検査と診断
認知症は治せるか
認知症の人との接し方
認知症の主な症状別対処法
詳しくはコチラ!
 

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