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 3.認知症は治せるか 認知症の最新治療

 A.認知症の進行を防ぐ治療の実際
 残念ながら現代の医学では、認知症を完全に治癒させる治療法は確立されていません。
 認知症の治療は、現在ある健常な機能を維持しながら症状の進行をできる限り抑えていくことが大目標となります。
 しかし、近年はアルツハイマー型認知症の治療薬が登場するなどし、治療内容と効果は格段に進歩しつつあります。そのため、認知症のタイプによっては薬物療法を治療の中心とするケースも増えてきました。
 
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 ◆薬物と非薬物を組み合わせる◆
 薬物療法が行なわれる一方で、食事や運動、H常生活の指導などといった非薬物療法を続けるのも非常に有効であることがわかっています。
 つまり、薬物療法と非薬物療法を上手に組み合わせた治療が、より効果を上げるというわけです。
 治療薬を用いながら、脳の知的機能がこれ以上低下しないよう、人との交流をもったり、頭を使う作業やゲームをしたり、睡眠を適切にとったりできるような日常生活を指導し、知的能力が健康に維持されるようにサポートします。
 
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 ◆軽度認知障害も治療対象に◆
 軽度認知障害の段階で適切な治療を行なうと、本格的な認知症の発症を防いだり遅らせたりできる場合があるので、MCIと診断されたなら、早めに積極的に治療を受けるとよいでしょう。
 この場合の薬物療法では、脳の代謝をよくする薬(脳代謝改善薬)や、アルツハイマー型認知症治療薬の塩酸ドネペジル(アリセプト)などが用いられることがあります。それ以外で主体となるのは、非薬物療法の生活指導です。
 
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 ◆中核症状を抑えて周辺・随伴症状に対処◆
 認知症の初期では特徴的な記憶障害があらわれ、進行すると、全体的に知的能力が低下していきます。これが認知症の中核症状といわれるものです。
 中核症状が進むと、徘徊や妄想のほか、一般に「ボケてしまった」といわれるような異常な言動や行動、失禁などが起こってきます。これらは中核症状に対し、周辺症状または随伴症状と呼ばれます。
 しばしば中核症状より目立ち、周囲の人が迷惑に感じることが多いのですが、認知症の本質は中核症状にあります。
 中核症状である記憶障害と知的能力の低下をできるだけ抑え、改善する日常生活の指導こそが、周辺症状を防いだりやわらげたりすることにつながります。
 
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 ◆認知症は予防できるか◆
〇病変を予防できる場合もある
 認知症を引き起こす脳の病変か原因不明で起こる場合、予防するのは困難です。しかし、脳血管性認知症のように脳梗塞などの原因となる疾憲が予防できれば、発症を抑えられる場合もあります。
 また、老化によって脳の変性が起こるのを防くためには、脳の機能を若いころのように活性化した状態に保てるよう、知的機能をよく使う習慣をつけておくとよいでしょう。
 若年性アルツハイマー型認知症などは、とんなに知的活動をよくしていても発症することかあります。しかし、老年性の場合は、知的活動や、頭を使う家事や趣味、人との交流をよくすることか、発症予防に役立つことかあります。
〇さまざまな危険因子を知る
 脳血管性認知症の危険因子として、高血圧や高脂血症、動脈硬化など血管系の病気、糖尿病、頭部外傷などかあげられます。
 退職や転居、親しい人との別れなと、生活環境や心理面の急変も、発症の引き金となることがあります。情緒か不安定てイライラした状態が続くものよくありません。
 認知症の危険因子を知り、対策を立てることが予防につながります。
 なお、個人の努力てはどうすることもできない危険因子として、遺伝的なものもあります。アルツハイマー型認知症は、親兄弟に発症者がいると、いない場合の3〜5倍発症しやすいといわれています。
〇適度な運動、食事も大切
 健康の三原則といわれる栄養、運動、休養なども、脳の機能維持や認知症の抑制に関連するといわれます。睡眠不足や疲労の蓄積、栄養不良は認知症の危険因子となります。
 栄養面ではとくに、ヒタミンB群や抗酸化物賞、カルシウム、亜鉛、鉄なとの環取が少なく、総脂質や飽和脂肪酸、コレステロールなどの摂取が多い場合は要注意です。
〇認知症を防ぐ食事
魚や肉もしっかりとる
腹八分目、間食も食べすぎなければよい
野菜や果物をたっぶりとる
脂肪はとりすぎず、かつ不足しないように
食品数を多く、味にもバラエティをもたせて
 
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 B.使用される薬の働きと特徴

 お年寄りの認知症の治療に用いられる薬物はさまざまです。主な薬物として脳循環改善薬や脳代謝改善葉、精神病治療薬などが用いられることがあるほか、アルツハイマー型認知症の治療薬が注目されており、アルツハイマー型以外の認知症にも広く用いられるようになりました。
 認知症でよく使用される薬物は次の表のとおりです。※準備中
 

アルツハイマー型認知症治療薬

認知症で使用される主な脳代謝改善薬

 

認知症で使用される主な抗不安薬

認知症で使用される主な抗うつ薬

   

認知症で使用される主な睡眠薬

認知症で使用される主な薬

   

認知症で使用される主な脳循環改善薬

   
   
   
   
 
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 ◆脳循環改善薬・脳代謝改善薬◆
 ごく初期の軽い認知症や脳血管性認知症には、脳の血流改善を目的として脳循環改善薬などが用いられます。また、脳の機能を積極的に働かせたり、神経伝達物質を調整したりするのを目的として、脳代謝改善薬が用いられることがあります。
 これらは通常は脳卒中の後遺症によく使われる薬で、めまいや立ちくらみ、しびれなどの症状を改善します。認知症の場合では、意欲低下やうつ状態、不安感、注意力の低下などが改善されることがあります。
 
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 ◆アルツ八イマー型認知症の治療薬◆
 現在よく用いられているアルツハイマー型認知症治療薬の塩酸ドネペジル(アリセプト)には、神経伝達物質のアセチルコリンを分解する酵素の働きを抑える作用があります。これにより、脳の働きによいアセチルコリンをできるだけ長く脳内にとどまらせようとするもので、軽度〜中等度のアルツハイマー型認知症の進行を抑制する効果が認められています。軽度認知障害(MCI)やレビー小体型認知痘の治療にも用いられ、症状の抑制や改善などの効果がみられることがあります。
 アルツハイマー型の初期に用いると、知的能力の低下を改善できることもありますが、服用を中止すると、効果は後退します。効果のあらわれ方には個人差があり、劇的に効く人もいればあまり効かない人もいます。
 
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 ◆精神病治療薬◆
 うつ状態や興奮、不眠、せん妄、幻覚、妄想などの精神症状や異常な言動・行動がある場合には、精神病治療薬が有効です。睡眠薬や抗うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬などを用いると症状がやわらいできます。
 お年寄りのうつ状態にはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)がよく用いられ、効果をあらわしています。
 
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 C.薬の管理は介助者の役目・副作用にも注意
 精神や神経に作用する薬物を敬遠する人が少なくありませんが、医師の指示に従って正しく服用すれば問題ありません。ただし、認知症のお年寄りは自分で薬の管理をするのがむずかしいので、介助をする人が常に気をつける必要があります。
 また、老化により全身の機能が低下しているお年寄りは、若い人に比べると薬の効きすぎや副作用があらわれやすいこともあります。
 薬の服用後にぼんやりとしたり、ふらついたり、せん妄がひどくなったり、食欲不振や口の渇き、尿が出にくいなどの症状があれば危険なサインとみなし、早めに医師に連絡してください。
 
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 D.非薬物療法の特徴と注意点
 認知症の治療では、薬物療法と併行して脳の活性化訓練などの非薬物療法がしばしば行なわれています。
 
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 ◆どのように脳を鍛えるか◆
 運動をひんばんにすると、筋肉が鍛えられて筋力・体力がついてきます。これと同じように、脳の知的機能もひんばんに使うと鍛えられ、機能が向上すると考えられます。
 イメージ的にはがんばって脳を鍛えることのように思われがちですが、それほビ大げさにする必要はありません。お年寄りが誰でも気軽に参加できるようなことが脳への刺激となり、脳を鍛える効果が期待できます。
 
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 ◆脳の血流をよくして活性化◆
 人の集まるところで楽しいことに触れていると、脳はさまざまな刺激を受けて働きます。脳を働かせていると、脳の神経細胞は新鮮な酸素や栄養素を必要としてどんどん取り込もうとします。その結果、脳の血流が増し、脳の活性化につながります。
 また、脳の神経細胞同士は、それぞれ緻密なネットワークを展開しています。このネットワークは、脳を働かせれば働かせるほど強固になっていきます。それが脳を鍛え上げることになり、認知症の予防や進行抑制につながると考えられています。
 
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 ◆楽しみながら脳を活性化◆
 楽しみながら脳を刺激して活性化させる方法はさまざまです。
 たとえば、昔のことを思い出しながら話す回想法、絵画や陶芸、切り絵、絵手紙などのアートセラピー(芸術療法)、音楽鑑賞やダンス、合奏、合唱を行なう音楽療法、動物と接するアニマルセラピーなど、病院や施設によっていろいろなものが実施されています。ただし、お年寄り本人が興味を示さない場合には、最初から無理じいしてはいけません。あせらずゆっくりと参加を促します。
 
さまざまな工夫で脳を活性化する
  芸術に触れ、つくってみるアートセラピー療法
  昔の体験を語り合う回想療法
  音楽を楽しむ音楽療法
  動物と触れ合うアニマルセラピー療法
  囲宕・将棋・チェス・トランプ
  ときには孫とゲームやクイズ
  裁縫・手芸・編み物
  家族といっしょに料理などの家事に参加
  いろいろなパズル
  お手玉、おはじき、べエゴマ、メンコ、けん玉など、昔の遊びもよい刺激に
 
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 ◆人と触れ合うことも効果的◆
 高齢者のケア施設におけるデイサービスやショートステイを利用すると、自宅にいるときとは違う体験ができるので、適度な刺激となります。家族以外のいろいろな人と触れ合えることも、よい刺激となり、脳の活性化につながります。
 孤独な生活は意欲低下や不安感をまねきやすくするので、お年寄りがいろいろな人と交流できる機会をつくりましょう。実際に、認知症のお年寄りがデイサービスに適い始めたのをきっかけに、表情が明るくなり、着替えや入浴をいやがらなくなったというケースもあります。
 
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 E.自宅での脳の活性化訓練
 脳の活性化訓練すべてに共通しているのは、お年寄りに強制するのではなく、リラックスした雰囲気のなかで、人間らしい知的機能を自然に発揮できるように工夫していることです。こうした場への参加が、人間らしい活動の維持と知的機能の保持に役立ちます。
 
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 ◆病院では専門スタッフが指導◆
 こうした活動が病院で行なわれる場合は、医師や看護師、臨床心理士など、精神医学の面からお年寄りの状態をみることができる専門家がつき添います。そして、個々のお年寄りの反応を観察し、その人に残された知的機能をできるだけ引き出し、活用できるようにしむけていく指導を行ないます。個人差はありますが、この指導が薬物療法より効果をあら
わすことも少なくありません。
 
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 ◆自宅での余暇も楽しく利用◆
 脳の活性化は自宅でもできます。余暇を利用して楽しくできるよう、家族や周囲の人も協力しましょう。
 65歳以上の人では、余暇活動が活発な人ほど認知症になりにくいことが海外の研究で報告されています。なかでもとくに、学習と記憶に関連した余暇活動が脳の活性化に有効で、認知症の予防につながるとされています。
 学習といっても、お年寄りに無理やり勉強させるわけではありません。ゲームや囲碁、将棋などをするだけでも効果的です。
 また、指先を細かく使うほど脳の刺激になるといわれるので、折り紙、裁縫、編み物やジグソーパズルなどもよいでしょう。中年期以降にこうした趣味を持っていた人ほど、認知症の発症率が低かったという報告もあります。 
 
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認知症の理解
認知症の進行を防ぐ治療の実際
薬物と非薬物を組み合わせる
軽度認知障害も治療対象に
中核症状を抑え周辺症状に対処
認知症は予防できるか
使用される薬の働きと特徴
脳循環改善薬・脳代謝改善薬
アルツ八イマー型の治療薬
精神病治療薬 
薬の管理・副作用にも注意
非薬物療法の特徴と注意点
どのように脳を鍛えるか
脳の血流をよくして活性化
楽しみながら脳を活性化
人と触れ合うことも効果的
自宅での脳の活性化訓練
病院では専門スタッフが指導
自宅での余暇も楽しく利用
認知症の理解
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認知症の検査と診断
認知症は治せるか
認知症の人との接し方
認知症の主な症状別対処法
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