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 4.認知症の人との接し方

 A.互いの心が通い合う介護・介助の心構え
 認知症のお年寄りの介護は、毎日続く長期戦です。介護する側もされる側も無理なく明るい気持ちでいられるようにするには、次の点に気をつけるとよいでしょう。因った症状が起きたときの具体的な対処法は、106ページ以降を参照してください。
 
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 ◆信頼関係を大切にする◆
 完璧をめざそうとするとかえって疲れてしまいます。まずは肩のカを抜いて、多少の失敗があっても、お年寄りとの信頼関係をこわさなければそれでよいと割り切りましょう。
 どんなときでも介護者は味方なのだと態度で示すようにしていれば、お年寄りは安心し、介護者を信頼します。
 お年寄りが安心し、精神的に安定していれば、症状の増悪も少なくなって介護しやすくなります。
 
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 ◆お年寄りを不安にさせない◆
 お年寄りが失敗をしたときにきつくしかったり、予定どおりに物事を進められないときに介護者がイライラしていたりすると、お年寄りに不安感を与えます。お年寄りが精神的に不安定な状態になると、異常な言動や行動が増える心配も生じ、介護するのもたいへんです。
 不安の回避は甘やかしではありません。失敗したときは冷静に注意し、そのあと温かいフォローをしてください。「茶碗をしっかり持たないからこぼれるんですよ。ここはふいておきますから、ぬれた服は着替えましょうね」という具合です。
 
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 ◆受け入れて歩み寄る・共感◆
 症状が進行するにつれ、認知症のお年寄りは、簡単なことでも理解や判断ができなくなってきます。説明は短くはっきり、わかりやすい言葉でするのが原則です。しかし、どうしてもいわれたことを理解できないなら、それを受け入れ、理解できなくても問題なく過ごせるように、周囲から変えていくことも大切です。
 たとえば、「ここは危ないから、向こうに座って」と繰り返すよりも危ない場所を片づけて安全に座れるようにしてあげるのです。介護者の歩み寄りで解決できることなら、無理のない範囲で歩み寄ってください。そのほうが介護者もお年寄りも、イライラや不安感を抑えられます。
 
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 ◆敬意をはらう◆
 認知痘で記憶障害や知能低下が起きているとはいえ、お年寄り個人の人格を大切にし、敬う気持ちを忘れてはなりません。軽視したり、さげすんだりするような言動は禁物です。
 かなり進行しない限り、年長者であるプライドや喜怒哀楽の感情は保たれます。そのため、人前で頭ごなしにしかられたり、否定的な言葉をかけられたりすると、お年寄りの自尊心が深く傷つきます。
 温かい気持ちで、敬意をもって接しましょう。
 
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 ◆会話は単純にわかりやすく◆
 認知症に加え耳が遠くなつていると、よけいに聞きとりにくくなるので注意します。一般に耳の遠いお年寄りは、高音より低音のほうが聞きとりやすいといわれます。話をするときは、落ち着いた声で、ゆっくりはっきりと、お年寄りの目を見て話しかけましょう。」度にいろいろ話すと混乱しやすいので、伝えたい内容は単純にまとめ、わかりやすい言葉を心がけます。 
 
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 ◆こまめに健康チェックする◆
 認知症になると、意志を伝える能力も低下して、自分の体調不良をうまく表現できないことがあります。また、進行すると知覚が鈍感になって痛みなどを感じにくくなったりするため、何か病気にかかったとき、かなり悪化するまで発見できないことがあります。
 これらを防ぐためには、介護者はふだんからお年寄りの健康状態をこまめにチェックしておくことも大切です。
 
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 認知症の介護・接し方のポイント
  本人の気持ちを大切にして信頼関係を結ぶ
  いきなり強くしかったり、どなったりしない
  今ある機能を大切にし、できないことをさせるよりも、できることを見つけてあげる
  無気力な状態でも、あきらめないで働きかけることで、反応が明るくなることがある
  興味を示さないことを無理に押しつけない
  説明は短く、はっきり簡単に、理解できる言葉でゆっくりと
  毎日の行動パターンを観察し、失敗しやすい行動を起こしたら早めにフォローするとよい
 
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 B.介護者自身が気を付けたいこと
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 ◆介護者の健康管理もしっかり◆
 介護者も生身の人間ですから、体力には限界があります。介護者が体調不良で寝込んでしまっても、認知症のお年寄りの生活は続きます。共倒れにならないよう、介護者はふだんから自分の健康管理をしっかりしておきましょう。定期的な健康診断を受けることも大切です。
 しかし、どんなに体調に気をつけていても、ときにはかぜをひいて発熱することもあるでしょう。家族や友人、近所の人、派遣ヘルパーなど、いざというときに協力してもらえる人を確保しておきましょう。
 
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 頑張り過ぎない
 介護は毎日のことなので、介護者は大忙しですが、一人ですべてを抱え込んで、がんばりすぎないでください。
 介護に追われて精神的にいきづまってしまうと、イライラしてお年寄りに温かく接することができにくくなるので、気分転換も大切です。ときどきは協力者に介護をまかせ、ショッピングや外食などで気分転換をはかりましょう。介護者がリフレッシュして、安定した気持ちでお年寄りに接するようになると、お年寄りの気持ちも安定します。介護者のリ
フレッシュは必要不可欠なのだとプラスに考えましょう。
 
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 ◆無責任な批判に惑わされない◆
 認知症の異常な言動や精神症状は、周囲の人の接し方しだいで抑えられるということが、最近はよく知られるようになりました。
 しかしこのことを逆手にとって、お年寄りに異常な言動があった場合、介護者の接し方が悪いからではないかと批判されることもあります。批判されると介護者の気持ちは追いつめられていきます。なぜ自分だけがこんな苦労をするのかと、被害者意識も芽生えやすくなります。とはいえ介護の現場では、できることとできないことが当然あります。状況を
確かめもせずにいい放たれた無責任な批判に惑わされることなく、できることをコツコツやっているのだと割り切って、前向きに考えましょう。
 
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 D.生活環境の整備のポイント
 認知症のお年寄りにとっては、普通の生活環境のなかにも危険なことがいろいろあります。危険を予測して回避する判断力が低下しているので、ふつうの人ならしないような失敗をしてけがをすることがあります。これを防ぐには、安全に配慮した生活環境の整備が必要です。
 
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 ◆火の扱いに注意◆
 調理や暖房など、火気は生活に欠かせません。しかし、認知症のお年寄りに火気を使わせるのは危険です。何げない動作や手順を忘れてしまうことがあるので、調理器具や暖房器具の操作を誤ってやけどすることも少なくありません。
 火気を使用するときは必ず介護者が見守るようにし、喫煙するお年寄りなら一人のときはたばこやライターを与えない、仏壇のろうそくの火の管理はお年寄りまかせにしないなどのルールを決めます。空焚き防止装置のついた風呂釜や、立ち消え防止装置のついたガス器具、直接炎の出ない調理器具や暖房器具に取り替えるのも防火に役立ちます。
 
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 ◆先手を打った事故防止対策◆
 生活の中心となる場所は、定期的に点検して事故防止対策を立てます。お年寄りが転倒してけがをし、寝込んだりすると、認知症が進行するおそれがあります。危ない場所はあらかじめチェックして、安全対策を講じておけば、けがの防止につながります。
 外出先でも同様です。よく通る散歩道などに危険箇所がないかどうか、つき添う人がときどきチェックし、もし危険筒所があったら、その対策を具体的に立てておきましょう。
 
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 ◆トラブル対策は万全に◆
 認知症であることを隠していたために、症状を理解してもらえず、よくない噂をされたり、誤解されたりして対人関係が悪化するような場合は、時機をみて、相手の人に認知症のことをきちんと話し、理解してもらいましょう。認知症のお年寄りが保有する資産をめぐつてトラブルが起きている場合は、弁護士などの専門家に相談します。
 
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 成年後見制度
 思老」力や判断力の低下した認知症のお年寄りを狙った悪質な詐欺や事件が増えています。万が「こうしたトラブルに拳き込まれたら、「成年後見制度」で対処するとよいでしょう。

〇制度のあらまし
 これは、判断能力の不十分な人の財産哲理や身上監護に関する法律行為をサポートする制度です。後見人と呼ばれる代理人を決め、判断能力の不十分なお年寄りのために必要な契約行為や、誤って結んでしまった契約の取り消しなどを代行します。
 認知症のお年寄りがこの制度を利用するには、医師の鑑定書が必要です。申し出を受けて家庭裁判所が適切な人を後見人に選びます。一定の費用を支払えば弁護士や司法書士に依頼することもできます。家族が後見人になることが多いようですが、身寄りがないお年寄りの場合は、市区町村長が法定後見人になることも認められています。
 
〇任意後見制度
 進行する認知症で、現在は判断能力があるものの、将来が心配という場合は、任意後見人といって、自分が望む人を後見人に選んでおくこともできます。この場合は、公証人役場で公正証書による「任意後見契約」を結びます。
 成年後見制度の利用には一定の費用がかかりますが、支払いが困難な人には国の助成制度も設けられています。くわしくは法務省民事局または最寄りの弁護士会、司法害士会に問い合わせてください。
 
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 D.社会的支援制度の上手な利用方法
 昔は、介護は各家庭の問題といわれていましたが、高齢化社会となった現在では、介護は社会全体の問題と考えられるようになりました。
 家庭での介護者が何もかも一人で抱え込むには限界があります。介護で倒れないためにも、社会的支援があれば積極的に利用しましょう。
 
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 ◆相談窓口を利用する◆
 わからないこと、不安なことは、公的な相談窓口に尋ねてみると、すんなり解決できることがあります。最近はいろいろな相談窓口があり、かかりつけの病院や、市区町村の社会福祉協議会などでも相談先を紹介してもらえることがあります。
 大別すると、認知症関連の相談先は保健所、保健センター、精神保健福祉センター、老人性認知症センターなどが主な相談先となります。介護全般の相談は、市区町村役場の介護保険担当課、福祉事務所、在宅介護支援センター、社会福祉協議会などが主な相談先となります。
 
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 ◆介護保険を利用する◆
 社会的支援の代表的なものは、介護保険によるサービスです。詳細は第10章を参照してください。
 介護保険の適用を受けて介護サービスを利用するには、市区町村の役場に申請して介護が必要な度合(要介護度)を判定してもらう必要があります。
 要介護度が判定されたら、それに応じて必要な介護サービスを選び、その利用金額の一割を自己負担します。いろいろなサービスがあるなかで、認知症のお年寄りの場合、在宅サービスのデイケアやショートステイ、施設サービスのグループホームなどが注目されています。
 
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 ◆地域の人との支え合い◆
 制度として確立されたものではありませんが、近所づき合いなど、地域の人との支え合いも大切です。
 認知症の症状が進み、買い物途中に何をどうしたらいいかわからなくなったり、歩きなれた道なのに迷子になってしまったり、徘徊が始まったりした場合、一緒にお年寄りを探し、見つけたときに声をかけて助けてくれるのは、地域の人々です。買い物でお金を払わずに商品を持ち帰ってしまっても、店主にあらかじめ病気のことを話しておけば、適切な対処が期待できます。
 病気のことを恥ずかしがらずに説明し、理解と協力を求めましょう。地域の民生委員や自治会役員などに相談して、協力をお願いしておくのもよいでしょう。
 
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 E.グループホームを利用する
 認知症のお年寄りができる限り自立し、今ある身体磯能・知的機能を維持しながらふつうの日常生活が送れるように支援する方法として、グループホームが注目されています。
  
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 ◆共同生活でケアを受ける場◆
 グループホームは、お年寄りが5〜9人程度のグループとなり、介護職員と共同生活をしながら必要なケアを受けるシステムです。
 朝起きてから寝るまで、掃除や洗濯、買い物、料理など生活に必要なことを、認知症のお年寄りたちが協力し合って行ないます。必要に応じて介護職員が手伝いますが、できる限りお年寄りたちが自分でするようにしむけ、機能の後退を防ぐように配慮されています。
 
                          グループホームの特徴

お年寄りのクルーフが、同じ
屋根の下で共同生活を送る

それぞれのお年寄りが生活
に必要なことを、できるだけ
自分たちの手で行なう   
掃除や洗濯、料理、買い物なども手分けしてできることをやり、専任のスタッフがフォローする
 
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 ◆介護費用と日常生活費が必要◆
 グループホームは、制度上は賃貸施設に入居して必要な介護を受けるしくみになっています。介護費用のはかに家賃、光熱費、食費、日常生活費などがかかります。
 介護保険の要介護度1以上であれば、「認知症対応型共同生活介護」としてグループホームを利用する方法もあります。
 形態は、民家やアパートを改装したものから、老人福祉施設に併設しているものまでさまざまです。また、運営主体も病院や社会福祉法人、非営利組織、営利組織など多様で、ケアの内容にもばらつきがあります。さらに、入所者の健康管理体制や医療施設との連携体制も施設によって異なります。
 
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 ◆施設を見学して慎重に検討を◆
 お年寄りのふつうの暮らしを維持するには、グループホームは理想的な面もあります。しかしまだまた、安定的に運営されている施設数が不足しているのが現状です。
 入所を希望する場合は、入所する本人とともに家族などがいくつかの施設を見学し、運営主体側の説明をよく聞き、費用明細の提示を受けるなどして慎重に検討しましょう。
 入所希望者が多い反面、費用や管理体制の面から運営が困難になり、存続が難しくなってしまう施設もときにはあります。あとでトラブルが起こらないよう、運営主体の信用調査などができるなら、しておいたほうが安心です。
 
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認知症の理解
介護・介助の心構え
信頼関係を大切にする
お年寄りを不安にさせない
受け入れて歩み寄る共感
敬意をはらう
会話は単純にわかりやすく
こまめに健康チェックする
  介護・接し方のポイント
介護者自身が気を付ける事
介護者の健康管理もしっかり
頑張り過ぎない
無責任な批判に惑わされない
生活環境の整備のポイント
火の扱いに注意
先手を打った事故防止対策
トラブル対策は万全に
  成年後見制度
社会的支援のを利用する
相談窓口を利用する
介護保険を利用する
地域の人との支え合い
グループホームを利用する
共同生活でケアを受ける場
介護費と日常生活費が必要
施設を見学して慎重に検討
認知症の理解
認知症とはどんな病気なのか?
認知症の検査と診断
認知症は治せるか
認知症の人との接し方
認知症の主な症状別対処法
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